最後の言葉は…カクテル『ラスト・ワード』

ラストワードを。
「ラストワードを。」
「(んっ、またか。)かしこまりました。」
サムタイム来る、海外からの旅行客のお客さん。
海外のお客さんが、よくオーダーするカクテルは、
オールドファッションド、ネグローニ
そして、ラストワード。
なぜ「ラストワード」?
ラストワード。
直訳すれば、「最後のことば」。
この名前に惹かれて注文してるんだろうか?
たぶん、違う。
どうやら、このカクテル。
いま、海外では“クラシックカクテル”として、かなり人気らしい。
100年以上も前にアメリカで生まれたとか。
いっとき忘れられてたけど、2000年代に復活して、
「知ってる人は注文する」通なカクテル、なんだそうです。
日本では、まだ“知る人ぞ知る”一杯
日本ではあまり知られてないから、
日本バーテンダー協会のカクテルブックにも載ってない。
でも、海外のカクテル好きにはわりと有名で、
ちゃんとしたバーに来たら、
「ラストワード、作ってくれるかな?」
って、試したくなる一杯。
そんな気持ちで、きっと注文してくれてる。
オリジナルレシピと、ひと工夫

ネットで調べてみると、レシピは全部同じ分量。
ジン、シャルトリューズ、マラスキーノ、ライムジュース。
それぞれをシェイカーに入れて、シェイクして、カクテルグラスに。
…でも、思った。
「このまま作ると、ちょっと味がなぁ…」
甘みも酸味も、全部が主張しすぎて、バランスが難しい。
だから、すこしだけアレンジした。
ジン30ml、シャルトリューズ20ml、マラスキーノ10ml、ライムジュース10ml。
比率を変えて、バランスを整えてみた。
すると、これが正解だった。
ドイツからのお客さまのひとこと
先日、ドイツから来たというカップルのお客さま。
男性の方がラストワードを注文してくださった。
ひとくち飲んで、こんな言葉をくれた。
「バランスがいい。他の店のものは酸味が強いけど、これはとても飲みやすい。」
その一言が、何よりうれしかった。
最後のひとこと、あなたもどうぞ
ジンの香り、シャルトリューズの薬草感、
マラスキーノのやさしい甘さに、ライムの酸味。
それぞれが主張してるのに、喧嘩しない。不思議な一杯。
よく聞くのが、「どうやってこの味のバランスになるの?」って。
それが、バーテンダーの腕の見せどころ。
オールドファッションドやネグローニと並んで、
海外のお客さんがよく頼むラストワード。
もしあなたが、まだ飲んだことがないなら――
ちょっと背筋を伸ばして、試してみませんか?
「ラストワードを。」
その一言から、はじまる夜もあるかもしれません。
