バー十訓

きっかけになったバー

わたしが、バーテンダーという職業を知り、

バーテンダーになろうと思った、きっかけのバーがあります。

それが『ボビーズ・バー』
 

大阪の梅田にある創業1969年の老舗バー。

御年92歳の『千頭 一心(ちかみ いっしん)』マスターのやっているバーです。
 

名前がすごいですよね。

本名です。

千の頭に、一つの心って。

誰が名付けたのか、センスを感じる。

店内に入ると所狭しと並んでいるお酒の瓶に圧倒されます。

バックバーはもちろん、カウンターの上にも三列にボトルが並び、客席の後ろにも、いたるところにボトルが並んでいる。
 

しかも、その一本一本がとても貴重な歴史のあるお酒たち。

いつも思っていることがあります。

それは…『一度でいいから隅から隅まであるボトルたちを見てみたい。』ということ。

店はビルの二階にあるのですが、店内に階段があり、上に上がるとたくさんのボトルがあるらしいのですが、そこも一度でいいから見てみたい。

マスターもお年で、大病をしたこともあって、店を閉じることを考えていられるそうです。

私は、最近はなかなか行けてなくて。

で、このあいだ、ひさしぶりにうかがいました。

最近の…

ベイリー・ニコル・ジャービーという、手に入らなくなった、ブレンデッド・スコッチウイスキーをストレートでオーダー。

お酒を飲みながらマスターがお話してくださいました。

「最近のお客さんは、バーでのルールをわかっていない。」ということでした。

最近来たお客さんで、勝手にボトルを触る人がいたり、

知ってるお酒の知識をひけらかす人や、

他店のバーの批判をしたりする人がいるなど。

でもそれは、お客さんが悪いんじゃなくて、

それを注意したり、教えるバーテンダーがいないからだ。ということでした。

(ドキッ、私も言えてない…)

「たまたまねぇ、以前に作ったものが出てきたからあげる。」と言ってくださったのが、

『バー十訓』という題名の書かれた一枚のプリントでした。
 

ただこういう物があると、『BAR』って堅苦しいところだなぁ、と思われるかもしれませんが、

そうではありません。

これは、バーにいる皆さんが楽しく快適に過ごすためのものであって、

決してお客さんを縛るようなものではありません。

これを知っていれば、

いろいろなバーへ行った時に、そこのバーテンダーや、他のお客さんから嫌がられることがなくなりますし、

あなたも嫌な思いをせず、楽しくバーでの時間を過ごすことができるようになります。

頂いたプリントは、額に入れてバー・アルバのトイレに飾っています。

ゆっくりとご覧ください。
 

もっと…

マティーニをマチニ―と言ったり、

米軍キャンプ時代の話や、

バーとは、

昔のバーテンダーは、

昔話など、

こういうお話聞くの大好きです。

いつも行くたびにいろいろなお話をしてくださいます。

もっといろいろ聞きたいと思う、そんな夜でした。

アルバ版十訓

この記事を書いたついでに、ボビーズ・バーの十訓を参考に、アルバ版の十訓を考えました。

あくまでもアルバ版です。

ほかのバーでは通じないというか、アルバではしてほしくないこと。

十訓というよりお願いかな?

①大声や品位のない言動と、店のレベルに合わない服装。

楽しく話していただくのは、もちろんオッケーです。

たまにいるのが男性だけのグループで下ネタやそれに似た内容の話を、女性だけのグループのお客さんや、デートできているカップルの隣でやっている。

痴話げんかをするカップル。白熱して声が大きくなる。

店内の雰囲気が悪くなるので、ご勘弁を。

②カウンターの上にカバンなど荷物を置く。もしくは、買ってきたペットボトルの水やお茶を置く。

家でご飯を食べる時、テーブルの上にカバンを置きながら食事することはないと思うんです。

荷物は背もたれにかける、隣の席が空いていれば、そちらへ置く(席がうまってくれば荷物の移動をお願いします)、入り口近くに荷物置きがあるので、そちらをご利用ください。

カウンターに置くのは、スマホ、財布くらいで。

あっ、ついでに。

よくあるのが、お客様が入店されて、席の前に来た時、ポケットやバッグから出したスマホをカウンターに置かれます。

その時、カウンターの手前が斜めになっていることに気づかずに、手前に置き、スマホが床に落ちることがよくあります。

アルバの床は石のタイルなので、最悪画面にひびが入ったりすることがあります。お気を付けください。

ペットボトル飲料に関しては、当店は飲食店なので、持ち込んだ飲食物はバッグなどに入れるかしてください。

③政治、スポーツ、宗教の話はしない。(有名)

バーは、いろいろな人が来ます。

例えば、ある政党の批判や、プロ野球などのいちチームの批判などの話をした時、たまたま隣にそこを応援している人がいると、最悪けんかになる場合があります。

いろいろな立場や、考えの人たちが集うバーです。

聞く人によっては、気分を害する恐れのある話題はしないようにしましょう。

④お酒の評価で、まずいは禁句。口に合わない、好みではないという。

これも③といっしょで、まずいと言ったお酒をおいしいと思っている人もいます。

これも、けんかになる可能性があるので、表現には気をつけましょう。

ただ、これに関しては、私もたまに話の中で言ってしまう時があります。

自戒の意味を込めて④に書きました。

⑤職業、学歴、地域などの差別発言はしない。

説明不要ですね。

⑥ボトルを勝手に触ったり、ふたを開けて匂いを嗅がない。

ボトルに触るときは、一言「ボトルを見てもいいですか?」と許可を得ましょう。

ボトルを触るときは、ボトルの下のほうを持ちましょう。

衛生の観点から、注ぎ口近くは触れないようにしてください。

同じく衛生の観点から、ふたを開けて匂いを嗅ぐのはお断りしています。

例えば、今からあなたが飲むウイスキーのボトルを他のお客さんがふたを開けて、鼻を近づけて匂いを嗅いでいたら嫌ですよね?

⑦知識自慢もほどほどに。

言いたくなります。お酒やカクテルなどのうんちくなど。

気持ちもわかります。

たまに、何人かで来たお客様で、一緒に来た人にお酒のうんちくを披露した後に「ね、マスターそうだよね?」という方。

あっていればいいんですけど、たまに違う時、訂正していいものやら、その人の立場を考えると話合わせて「そうですね。」と言ったほうがいいのやら、困ることがあります。

⑧他のお客様には話しかけない。

これは店によって違います。

一緒に居合わせた人たちと、話して仲良くなるというバーもたくさんあります。

それを楽しみでバーへ行くという方もたくさんいると思います。

しかし、バー・アルバでは、他のお客様に話しかけないでください。

理由はいくつかあります。

話しかけられた人が、気を使って話しているといった事が何度かありました。

そして居心地が悪そうにしていることがあります。

私自身お客様とはあまり話をしません。

私が話下手なのもありますが、

一人のお客様には一人の時間を。

二人や三人などで来たお客様には、一緒に来た人との会話を楽しんでいただく。

というスタンスです。

たまたま居合わせたお客様の間で、それぞれを繋げるようなことはできませんし。

それをして、常連さん同士が仲良くなると、一見さんが入りにくくなるというのが嫌なんです。

バー・アルバでは、それぞれのお客様が、それぞれに楽しんでいただきたいので、話しかけることはしないでください。

⑨勝手に写真を撮らない。フラッシュはたかない。

店内やボトルの写真、撮りたくなりますよね。

撮っていただいても大丈夫です。

ただ、撮る前に一言「撮ってもいいですか?」と許可を得ましょう。

それがマナーです。

撮るときの注意点ですが、

フラッシュを使わないでください。

バー・アルバは、暗いです。

フラッシュを使うと店内がすごく光って他のお客様のご迷惑になります。

店内を撮るときは、他のお客様が入らないようにしてください。

勝手に写されることが嫌な人もいます。

⑩電話がかかってきたら、外で話す。

電話を席で話されると、他のお客様が気を使って小声で話すなど気を使わせます。

また、電話だと話声が大きくなることがあります。

外に出て電話しましょう。

追記で⑪スマホなどで音声を出して動画などを見ない。

YouTubeなどの動画を音声を出して見ている人がたまにいます。

音声を聞きたい場合はイヤホンなどを使ってください。

店内のBGMや、お客様たちの話声と合いません。

音声を出さずに見るのはオッケーです。

ただし、画面の明るさは控えめで。

暗い店内で明るい画面は、他のお客様からすると非常にまぶしいです。

書いていると思いだしてきたので、追加で⑫トイレで寝ない。閉じこもらない。

バーアルバは、トイレがひとつしかありません。

寝たり、閉じこもられると、後がつかえて大変です。

おやめください。

あと、気分が悪くなって、どうしてもトイレでもどす時は、便器にしてください。

絶対に洗面ボールにはしないでください。

詰まって大変なことになります。

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